Cryo-FIBを用いたOD錠の断面SEM観察Cross Sections of OD Tablets Observed by Cryo-FIB-SEM

OD錠1)の構造と崩壊メカニズムに関する調査の一環として、今回、水を滴下したOD錠(崩壊剤含有)の断面を観察することに成功しました。
当社が所有するプラズマFIB(Xeビーム加工)では、断面作製時に試料への熱ダメージを抑えて加工することができ、また従来のFIB(Gaビーム加工)より広範囲・短時間での加工も可能です。

1) OD錠(Orally Disintegrating Tablets:口腔内崩壊錠)

当社所有のプラズマFIBの特徴

  • Cryo条件下(冷却状態)での断面加工ができ、試料に与える熱ダメージを抑えることが可能
  • 高周波誘導プラズマイオン源(Xe)をイオンソースに用いることで、従来のFIB(Ga)より広範囲・高速な加工が可能
  • Xeは反応性が低いため、試料を構造変化させにくい

水を滴下したOD錠の断面SEM観察

水(0.05ml)を滴下した崩壊剤含有OD錠を冷却状態で断面加工し、SEM観察を行いました。



水を滴下した崩壊剤含有OD錠
水を滴下した崩壊剤含有OD錠
*黒い四角:加工によって開いた穴
加工・観察イメージ
加工・観察イメージ







冷却状態で加工しなかった時の熱ダメージ(焦げ)
冷却状態で加工しなかった時
の熱ダメージ(焦げ)

水滴下領域における断面SEM像

試料ご提供元:昭和大学大学院 薬学研究科 薬剤学分野 原田努先生
(科研費 基盤研究C)

(1)中央部
 崩壊剤あり

断面SEM像(中央部)
断面SEM像(中央部)

 崩壊剤なし

崩壊剤を含まないOD錠の断面SEM像(水滴下後)
崩壊剤を含まないOD錠の断面SEM像
(水滴下後)

(2)境界部
 崩壊剤あり

断面SEM像(境界部)
断面SEM像(境界部)

• 崩壊剤を含むOD錠では、水を滴下した領域で細かな空隙が増え、OD錠に崩壊が起きていることが分かります。
• 崩壊剤を含まないOD錠では、水を滴下しても、空隙の増加は見られませんでした。

FIB加工時間(同一面積での比較)
 • 従来FIB:40時間以上/箇所
 • プラズマFIB約2時間/箇所





※各SEM像で縦方向に見られる細かい線は加工起因(カーテニング効果)によるものです。

FIB: Focused Ion Beam (集束イオンビーム)
SEM: Scanning Electron Microscope (走査電子顕微鏡)

[ 更新日:2025/02/10 ]

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