ゴム材料の成分分析および劣化評価Component Analysis and Damage Evaluation of Rubber
ニトリルゴム・EPDMゴム・シリコンゴム・フッ素ゴムなどのゴム材料は様々な用途で使用されています。ゴムにはポリマー・架橋剤・充填剤・老化防止剤などが目的に応じて適切に配合されています。ゴム部品の耐久性や劣化には、これらが関わっており、成分の把握が重要になります。
以下にSBRの成分分析とEPDMの劣化評価についてご紹介します。
ニトリルゴム・EPDMゴム・シリコンゴム・フッ素ゴムなどのゴム材料は様々な用途で使用されています。ゴムにはポリマー・架橋剤・充填剤・老化防止剤などが目的に応じて適切に配合されています。ゴム部品の耐久性や劣化には、これらが関わっており、成分の把握が重要になります。
以下にSBRの成分分析とEPDMの劣化評価についてご紹介します。
| 配合成分 | 主な分析手法 |
| ゴム(ポリマー)成分 | FT-IR・Py-GC/MS |
| 軽質成分(Wax) | FT-IR・GC/MS |
| 添加剤(老化防止剤・軟化剤・加硫促進剤など) | GC/MS・LC/MS |
| 無機充填剤 | EPMA・XRF・ICP-MS |

ゴムを窒素雰囲気で800℃まで加熱、その後、雰囲気をAirに切り替えてカーボンブラック(CB)を燃焼させました。
重量減少カーブより、軽質分6.3%、ゴム(ポリマー)成分46.0%、カーボンブラック(CB)12.2%、その他の無機成分が35.5%であることが分かりました。


ゴムを100℃~320℃まで加熱し、発生したガスをGC/MSで分析(上左図添加剤・軽質成分の分析:GC/MSの図)。
軟化剤や加硫促進剤などの添加剤成分を検出。
溶媒抽出液のLC-TOF/MS(上右図LC/TOF-MSの図)による分析では老化防止剤や可塑剤が検出されました。


ゴムは無機充填材(カオリン)を含むスチレン・ブタジエンゴム(SBR)であることが分かりました。
1,000℃加熱処理後に残った無機充填材を溶解し、ICP-MSで定量しました。その結果、Al,Si,Znおよび微量のFeが検出されました。Al,Siは無機充填材(カオリン)、Znは加硫促進剤です。
分析結果を総合するとゴムの配合成分と組成は以下のとおりとなりました。
| ゴム(ポリマー)成分 | スチレン・ブタジエン(SBR) | 46.0% |
| 軟化剤・可塑剤 | パラフィンワックス(炭化水素) | 6.3% |
| フタル酸エステル(DEHP)・クエン酸エステル(ATBC) | ||
| 老化防止剤 | 3,4,5-トリ(α-メチルベンジル)フェノール 2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン |
|
| 加硫促進剤 | メルカプトベンゾチアゾール(MTB) | |
| 酸化亜鉛 | 2.1% | |
| 無機充填材など | カオリン Al2Si2O5(OH)4 | 33.4% |
| カーボンブラック(CB) | 12.2% |



劣化品では、EPDM表面が粗くなっています。
1) 劣化品:EPDMを次亜塩素酸に浸漬し、強制劣化させました。


劣化により、ジエンが酸化されカルボニル基が生成したと考えられます。

各分析手法により、劣化によるポリマーや添加剤などの構造変化や含有成分量の違いなどの情報が得られます。
[ 更新日:2025/04/22 ]
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