ラマン散乱分光による応力/ひずみ分布評価Evaluation of Both Stress and Strain Distributions by Raman Mapping
各種デバイスにおける残留応力は、「剥がれ」や「割れ」などのトラブルを引き起こす要因になります。ラマン散乱分光では、μmオーダの空間分解能で応力分布を得ることが可能です。
各種デバイスにおける残留応力は、「剥がれ」や「割れ」などのトラブルを引き起こす要因になります。ラマン散乱分光では、μmオーダの空間分解能で応力分布を得ることが可能です。
手法 | 対象 | ひずみ | 空間分解能 | 応力の検出感度1) (Siの場合) |
X線回折 | 結晶 | 格子面間隔の変化 | △ | ○ |
電子線回折 | 結晶 | 格子面間隔の変化 | ◎ | △ |
ラマン散乱分光 | ラマン活性材料 | ラマンシフト | ○ | ○ |
1) ラマン散乱分光による応力の検出下限は数MPa(Siの場合)
物質に応力が加わると原子間の距離が変化するため、結合力が変化します。このとき、格子振動の周波数が変化し、それに応じてラマン線がシフトします。
一般的に圧縮応力が加わると、ラマン線は高波数側にシフトし、引張応力が加わると低波数側へシフトします。
測定に使用する励起レーザ波長を変えることによって、結晶Siへの侵入深さをコントロールし、情報を選択的に得ることができます。
4点曲げの治具を用いてSi基板に応力を加え、ラマン線のシフト量から応力分布を評価しました。
基板下側で圧縮応力、上側で引張応力の分布が確認されました。
TSV(Through Silicon Via)についてSiの応力を評価しました。
Cuビアの近傍は引っ張り応力が発生していることが分かります。
結晶欠陥部の周辺には、局所的な応力やひずみが生じています。
半導体デバイス中のトレンチ構造近傍Si層について、ラマン線のシフト量から応力分布を評価しました。
同箇所をエッチング処理後にSEM観察した結果にて結晶欠陥が観察された箇所には、約100MPaの圧縮応力が加わっていることが分かりました。
ラマン散乱分光では、非破壊でこのような評価が可能です。
[ 更新日:2024/07/11 ]
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