ラマンによるSiCデバイスの応力分布評価Raman Mapping of Stress Distributions in SiC Devices

SiCデバイスはパワー半導体の中でも市場が大きく、今後も需要の拡大が見込まれています。
SiCデバイスでは製造工程において、結晶欠陥や、内部応力が発生することがあります。ラマン散乱分光では、μmオーダの空間分解能で応力分布を捉えることができ、上記異常の評価に有用な手法です。今回はSiCデバイスのトレンチ構造近傍の応力分布を評価した事例をご紹介します。

ラマン散乱分光による応力評価

物質に応力が加わると原子間の距離が変化するため、結合力が変化します。このとき、格子振動の周波数が変化し、それに応じてラマンピークがシフトします。一般的に圧縮応力が加わると、ラマンピークは高波数側にシフトし、引張応力が加わると、低波数側へシフトします。
結晶SiCではc面に平行な応力にはFTO1)(2/4)E2が、c面に垂直な応力にはFTO1)(0)A1が対応してシフトします。

1) FTO: Folded Mode Transverse Optical Phonon (折り返しモード横型光学フォノン)

結晶SiCのラマンピーク(c面に平行な応力)
結晶SiCのラマンピーク
(c面に平行な応力)
結晶SiCのラマンピーク(c面に垂直な応力)
結晶SiCのラマンピーク
(c面に垂直な応力)

事例 トレンチ型SiC MOSFETの応力分布評価

FTO(2/4)E2のピークシフトマッピング2)
FTO(2/4)E2のピークシフトマッピング2)
光学顕微鏡像
光学顕微鏡像
FTO(0)A1のピークシフトマッピング2)
FTO(0)A1のピークシフトマッピング2)
光学顕微鏡像
光学顕微鏡像

2) SiC以外の箇所は画像加工しています

トレンチ構造の左側でc面に平行な引張応力、右側でc面に平行な圧縮応力が確認できました。また、トレンチ構造の間ではc面に垂直な圧縮応力も確認できました。

[ 更新日:2024/02/26 ]

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