AFMによる微小表面粗さ測定Measurement of the Nanoscale Roughness by Atomic Force Microscopy

原子間力顕微鏡(AFM : Atomic Force Microscope)はナノスケールの微小な表面形状を3次元で可視化・数値化できる手法です。

原理

AFMは、走査型プローブ顕微鏡(SPM : Scanning Probe Microscope)の一種であり、試料と触針の間の原子間力を利用し、ナノレベルの凹凸の情報が得られます。
AFMにはいくつかの測定手法がありますが、測定試料を破壊する懸念が少ないタッピングモードが一般的です。
タッピングモードでは、カンチレバーを振動させながら試料に近づけます。試料を軽く叩く(タッピングする)イメージです。探針が試料表面に接触すると、カンチレバーが振動する振幅に変化が見られます。この変化を光センサで検知し、変化がほとんどゼロとなるようにカンチレバーを上下させます。カンチレバーの位置を記録して、試料表面の形状を3次元画像として構築します。

AFMの原理
原理図

特徴

  • ナノスケールの微小な表面形状および粗さ測定可能
  • 軟らかい試料や表面に物質が弱く吸着されている試料を測定可能
    ※探針が接触する時間は短く、探針と試料の相互作用は上下方向のみ(試料に横方向の力は掛かりません)
  • 非常に帯電しやすい試料は、軟X線による除電で測定可能
  • 試料サイズ : ~210mmφ、厚さ ~15mm
  • 平均ラフネス : 0.1nm~
装置外観
AFM測定ユニット外観

用途

  • 半導体基板の表面処理後の粗さの変化をナノスケールで測定
  • 薄膜生成後の表面の粗さをナノスケールで測定

事例 PEFC(固体高分子型燃料電池)触媒層の測定

PEFC触媒層の表面粗さ

PFTE触媒層の表面粗さ
SEM像
PFTE触媒層の表面粗さ
AFM像

粗さ測定方法の比較

比較項目 AFM 触針式
段差計
共焦点
顕微鏡
SEM
特徴 ノイズレベル
0.03nm↓
ライン
スキャン
測定範囲が
広い
画像のみ
測定可能
範囲1)
最大視野 80µm
×80µm
200mm
×200mm
1,420µm
×1,140µm
-
最大高低差 2µm 327µm 15mm -
垂直分解能 0.01nm 0.078nm 10nm -
材料
制限
絶縁材料   ×3)
透明材料 ×
光沢材料 ×
材料ダメージ
やわからい
材料
×
帯電しやすい
試料
×
用途 3次元表示 × ×
粗さ測定2) Ra・Rz・Rq
ほか
Ra・Rz・Rq
ほか
Ra・Rz・Rq
ほか
×

1) 当社所有の装置の仕様での提供範囲およびパラメータ(JIS B0601:2001)
2) Ra : 算術平均粗さ、Rz : 最大高低差、Rq : 二乗平均平方根粗さ
3) 導通のためのスパッタ処理が必要

[ 更新日:2024/02/26 ]

分析に関するお問い合わせ

お問い合わせ

よくあるご質問

依頼に関するお問い合わせ

入力フォームはこちらから

電話番号・メールアドレス

トップに戻る