Ti酸化物(TiOx)の酸化状態評価Oxidation States Analysis of Titanium Oxide (TiOx)

Ti酸化物のXPS分析では、内殻準位や価電子帯(Valence)スペクトルのピーク位置・スペクトル形状・サテライトの位置から酸化状態を調べることが可能です。 ここでは、さまざまな酸化チタンの酸化状態の比較評価を行なった例をご紹介します。

酸化チタンの酸化状態評価

チタンは軽くて強く、耐食性・耐熱性にも優れていることから、誘電体材料・半導体材料・電極材料・耐熱材料、摩擦材や光触媒材料などあらゆる分野で用途の可能性を大きく拡げています。 また、酸化チタンはTiとOとの比により多くの不定比化合物を作り、チタン原子は+2~+4の価数をとります。

XPSスペクトル(Ti 2p, O1s, Valence)
XPSスペクトル(Ti 2p, O1s, Valence)

結果

• Ti 2p スペクトルでは、CTサテライトが2p1/2の主ピークよりも高束縛エネルギー側に現れます。
このサテライトは、酸化物に特徴的ですが、ハロゲン化物などの化合物ではピーク位置や強度が異なります。

• Ti 2p の2p3/2 ピーク位置とスペクトル形状もTiの酸化状態により異なります。

• O 1sのピーク位置やスペクトル形状の変化は少ないですが、ピーク位置やスペクトル形状が若干異なります。

• Valenceスペクトルの観測からも価数状態の変化を検知することも可能です。
Ti metalとTiO1.75ではO 2p成分より低束縛エネルギー側(フェルミ準位(EF)近傍)にTi 3d成分が存在します。

酸化チタンTiOxの酸化状態は、Ti 2p, O 1s, Valenceのスペクトル形状、ピーク位置などから総合的に判断することで、より正確に調べることが可能です。

※CTサテライト: 電荷移動サテライトと呼ばれ、O 2pバンドからTi 3d軌道へ電子が移動することに起因するサテライト構造

[ 更新日:2024/02/26 ]

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