波長分散型蛍光X線分析Wavelength Dispersive X-Ray Fluorescence Spectrometry

蛍光X線分析は、X線を試料に照射して試料原子を励起し、元素特有の蛍光X線を検出して構成元素の種類と含有率を分析する方法です。非破壊で迅速に分析でき、精度も高く、製造工程での管理分析、抜き取り分析などにも広く利用されています。

原理

X線を試料に照射すると、試料原子の内殻の電子が励起され、原子によって定まった波長をもつ蛍光X線が発生します。
X線は分光結晶を用いて波長に応じて分離し、シンチレータなどのX線検出器で検出して、スペクトルのピーク位置と強度から試料に含まれる元素の種類と量を知ることができます。

装置外観
装置外観

特徴

  • 非破壊で、主成分から不純物(数十ppm)まで分析可能(6C~92U)
  • 1成分20~60秒と迅速分析可能
  • 膜試料の厚さと組成が同時分析可能
  • マッピング測定が可能(最小500µmφ)

※蛍光X線分析は、標準試料が用意できない場合でもファンダメンタルパラメータ法(FP法)による半定量分析が可能です。また、FP法を用いると窒化膜の組成分析など、化学分析で分解および測定が難しい試料の組成分析も短時間で可能です。

ファンダメンタルパラメータ法(FP法)
試料中の元素の含有率、X線発生に関する物理定数、装置に関する定数が既知の場合、発生するX線強度は理論的に計算できるので、理論強度と実測強度の相関から含有率を求める方法。

用途

  • 金属膜の膜厚測定、窒化膜などの組成分析
  • はんだ・SUS材などの合金、ファインセラミックス材料の成分分析など
  • 未知試料の定性・半定量分析(FP法でC~U測定)
薄膜試料の膜厚測定例
測定項目 Al値 Ti値
平均値 (nm) 0.593 0.893
標準偏差 (nm) 0.002 0.003
変動係数 (%) 0.42   0.38  

事例1 Pbフリーはんだ半定量分析

Pbフリーはんだの定性スペクトル
Pbフリーはんだの定性スペクトル
Pbフリーはんだ半定量分析例 (NBH(R)74XE) 単位:mass%
成分 認証値 分析値
Cu 3.01     3.17    
Ag 0.742   0.684  
Pb 0.0262 0.031  
Sb 0.027  
Bi 0.0097 0.012  
Zn <0.001     
Ni 0.011   0.022  
Fe 0.052   0.081  
As 0.088   0.104  
Cd 0.0021
Se 0.0025 0.0025

事例2 ソーダライムガラスの半定量分析

ソーダライムガラスは二酸化ケイ素を主成分としたガラスで、窓ガラス・自動車ガラス・びんなど広く一般的に利用されているガラスです。
主成分はSiO2,Na2O,CaOで、不純物としてAl2O3,K2O,MgOなどが含まれ、組成や不純物管理が重要です。湿式化学分析法(Siは重量法、CaおよびAlは容量法など)では熟練を要し、時間が掛かります。蛍光X線FP法では短時間で半定量分析が可能です。
蛍光X線FP法によるソーダライムガラスの半定量分析では、微量成分から主成分まで認証値とよく一致します。

ソーダライムガラス半定量分析 (NIST SRM621) 単位:mass%
成分 認証値 分析値
SiO2 71.13   71.07  
Na2O 12.74   12.12  
CaO 10.71   11.12  
Al2O3 2.76 2.77
K2O 2.01 2.05
MgO 0.27 0.25
SO3 0.13 0.15
BaO 0.12 0.14
Fe2O3   0.040   0.053
As2O3   0.030   0.034
TiO2   0.014   0.011
ZrO2   0.007   0.009

事例3 シリコンウェーハ上窒化膜の定量分析

TiNやTaNなどのバリアメタルは、配線の信頼性を向上させる目的で用いられます。これらは、組成比によってバリア性や密着性などの特性が変化するため組成比の評価が重要ですが、窒化膜の湿式分析法は分解が難しく、測定にも時間が掛かります。非破壊で分析可能な蛍光X線FP法は薄膜の測定に有効です。
下図のTiN膜の感度校正曲線で、N,Tiともに実測強度と理論強度は良好な相関が得られました。蛍光X線FP法と湿式分析の定量値は、TiN・TaN膜ともによく一致します。

N-Kα(理論強度)
Ti-Kα(理論強度)

NとTiの測定強度と理論強度の相関図

TiN膜・TaN膜の測定結果例 単位:mol%
分析方法 Sample A (TiN) Sample B (TiN) Sample C (TaN)
Ti N Ti N Ta N
定量分析(湿式分析) 82.5 17.5 52.3 47.7 70.0 30.0
定量分析(蛍光X線FP法) 82.4 17.6 52.4 47.6 69.7 30.3

[ 更新日:2022/03/30 ]

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