蛍光X線による微小領域のめっき膜厚測定Micro Area Thickness Test for Metallic Coatings by X-ray Fluorescence Analysis

電子分野のめっき製品は、機械的・電気的特性に応じて多様な金属膜で形成されています。微小領域での多層めっきの膜厚測定は、FP法(Fundamental Parameter Methods)によるエネルギー分散型微小部蛍光X線測定(ED-µXRF)が有効です。

原理

蛍光X線分析法は、発生した蛍光X線の波長・強度から定性・定量分析を行います。検出された蛍光X線強度から、検量線法・FP(ファンダメンタルパラメータ:物理定数)法により含有量(付着量)を求められます。

多層薄膜では、検量線法(高精度な定量)では標準試料を用いる必要があるため適用が難しく、理論強度計算を利用したFP法により簡易に付着量および膜厚を算出します。

多層膜FP法の模式図
多層膜FP法の模式図

特徴

  • 標準試料レス測定
  • CCDカメラで場所指定(φ10µm領域)
  • 基材を除く最大3層の多層膜測定
  • 大気中で非破壊測定

測定対象例

各種カードICチップ

測定対象例

基板配線パターン

測定対象例

ICリード部

測定対象例
  • 測定部は平坦かつ平滑さが必要です。
  • 膜構成によっては測定できない場合があります。
  • 膜の積層順・膜成分・膜密度の情報が必要です。

測定精度

膜厚測定用認証標準物質を用いた測定では、認証値に近い値が得られました。

層構造 認証値 (µm) 測定値 (µm)
1層目 Au 1.176 1.144
2層目 Ni 10.60 10.46
層構造 認証値 (µm) 測定値 (µm)
単層 Au 0.048 0.050

事例

測定試料:ICリードの2層めっき (Ni+Au)

測定条件 密度
測定時間 100s Au 19.32g/cm3
照射径 10μm Ni  8.9 g/cm3
第1層目 付着量
(mg/cm2)
膜厚
(µm)
Au 0.805 0.42
0.757 0.39
0.778 0.40

平均膜厚0.40µm(σ=0.01)

第2層目 付着量
(mg/cm2)
膜厚
(µm)
Ni 3.537 3.97
3.312 3.72
3.360 3.77

平均膜厚3.77µm(σ=0.13)

【参考】断面観察による膜厚測定
断面観察結果ともほぼ一致しております。

断面観察による膜厚測定
断面SEM像

[ 更新日:2024/02/26 ]

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