SIMSによるウェーハベベル分析Depth Analysis of Wafer Bevel Section by SIMS
ウェーハベベル部の成分評価は一般的にTEMやTOF-SIMSで行われていますが、既存の手法ではいずれも感度や定量に制限があり、微量の成分評価は困難とされてきました。今回、感度・定量に特化したSIMSにて、ベベル専用治具を作製し、高精度に成分評価する手法を確立しました。
アプローチ
右図はウェーハのベベル部を断面方向から見た状態を示しています。SIMSにてベベル部の深さ方向分析を行う際、測定面の法線方向に検出器をポジションさせるため、角度をつけて試料を固定する必要があります。そのため試料の位置が不安定な状態となる問題が生じます。今回、角度可変なベベル分析専用の治具を開発し、試料を安定して固定することにより、ベベル面内を自由に位置指定し、深さ方向プロファイルを得ることができるようになりました。
SIMS:二次イオン質量分析法 (Secondary Ion Mass Spectrometry)
分析事例:手法
Siウェーハ上にアモルファスSiとBoron delta layerを交互に3セット積層し、最表面にCap Siを成膜した試料のベベル部近傍におけるBoron分布変化を調査しました。SIMSにて成膜境界を中心に250μm角領域でイオン強度の3Dイメージングを取得し、図中(1)~(5)の20μm×70μm領域をROI抽出し、深さ方向プロファイルを再構築します。この方法により、基板内側(1)から成膜境界(3)を経て、基板露出部(5)までの面内のプロファイル変遷を辿ることができます。
分析事例:結果
イメージング(1)~(5)の抽出領の深さ方向プロファイルを比較しました。プロファイルの変遷から、以下の3点を読み取ることができます。
以上をまとめると、ベベル側に向かって各Si層がシュリンクし、端部ではBoron delta layerとの混合層が形成されていると考察できます。本技術の応用例として、ベベル部膜剥がれ原因成分の評価など、半導体プロセスが抱える問題解決に貢献します。
[ 更新日:2024/08/01 ]
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