高感度STEM/EDSと3DAPによる鉄鋼材料の分析Sensitive STEM/EDS and APT Analysis of Steel Materials
鉄鋼材料の物理特性を理解するうえで、各結晶における組成情報が重要だと考えられています。ステンレス鋼(SUS329)のα相(フェライト相)とγ相(オーステナイト相)それぞれの組成の差を評価するため、3DAP分析を適用しました。
α相:体心立法格子 (bcc) γ相:面心立法格子 (fcc)
3DAP測定用針状試料をt-EBSD観察し、事前に針状試料に含まれる結晶系を特定したうえで3DAP測定をしました。
濃度 (atomic%) | ||
---|---|---|
α相 | γ相 | |
Fe | 62 | 65 |
Cr | 30 | 23 |
Ni | 3.8 | 8.5 |
Mo | 2.0 | 1.3 |
Si | 1.3 | 1.2 |
Mn | 0.5 | 0.6 |
Cu | 0.09 | 0.2 |
P | 0.03 | 0.02 |
Al | 質量干渉により定量評価不可 | |
C | 0.01以下 | 0.07 |
Cr,Ni,Mo,CuおよびCでは、α相とγ相の間に組成の有意差が認められました。
STEM/EDS分析にて、3DAPにより算出したステンレス鋼(SUS329)の組成について検証を行いました。
濃度 (atomic%) | ||
---|---|---|
α相 | γ相 | |
Fe | 59 | 64 |
Cr | 31 | 23 |
Ni | 3.6 | 8.1 |
Mo | 3.2 | 2.2 |
Si | 1.8 | 1.3 |
Mn | 0.5 | 0.7 |
Cu | Cuホルダーの影響で評価不可 | |
P | 0.03 | 0.05 |
Al | 0.4 | 0.03 |
C | Cコンタミの影響で評価不可 |
1atomic%を超える元素について、EDS分析の結果は、3DAPと大小関係が一致しており、3DAPの結果を支持しています。
[ 更新日:2024/02/26 ]
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