ラマン散乱分光Raman Spectroscopy
ラマン散乱分光は、赤外分光同様に有機、無機化合物の同定が可能な手法です。
特に赤外分光に比べて空間分解能が高く、微小領域の応力・結晶性・欠陥などの評価が可能です。
物質に単色光を照射すると、入射光と同じ波長の光(レイリー散乱)以外に、ラマン散乱光といわれる光が出てきます。これは分子振動の情報を含んでいるため、この光を調べることにより、分子構造や結晶性に関する情報が得られます。
(1) 物質の同定
ラマンシフトのピーク位置から得られる結合情報より、物質を同定することができます。
【適用例】 微小異物の同定
(2) 結晶格子のひずみ
ピーク位置のシフト量から、結晶格子のひずみ(応力)に関する情報が得られます。
【適用例】 Siの応力
(3) 結晶構造・結晶性評価
ラマンスペクトルおよびピーク幅から、結晶構造や結晶性に関する情報が得られます。
【適用例】 ポリシリコン・DLC(ダイヤモンドライクカーボン)など
(4) ピークの強度
縦軸のラマン強度より、相対的な存在量が分かります。
Siウェーハ上の1μm程度の微小異物について分析を行いました。
異物は硫酸アンモニウムであり、洗浄残渣に起因するものであることが分かりました。
TSV(Through Silicon Via)についてSiの応力を評価しました。
Cuビアの近傍は引っ張り応力が発生していることが分かります。
ラマンスペクトルおよびピーク幅から結晶構造・結晶性に関する情報が得られます。
同じ炭素から成る物質でも、スペクトルおよびピーク幅から多様な結晶構造の違いを知ることができます。
[ 更新日:2024/12/05 ]
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