ニオブ酸リチウム・タンタル酸リチウムの組成・不純物分析Composition and Impurity Analysis of LiNbO3 and LiTaO3

強誘電体材料であるニオブ酸リチウム(LiNbO3)・タンタル酸リチウム(LiTaO3)は、優れた圧電特性・電気光学特性をもつ材料です。これらの組成および不純物量は特性に大きく影響するため、その管理は重要です。
当社では、これらのセラミックス材料の組成・不純物分析が可能です。分析の一例として、少量の試料で組成・不純物分析を行なった事例をご紹介します。

組成および不純物の分析方法

(1) 組成分析 主成分の高精度分析 精度2桁~3桁

  • アルカリ融解・酸分解(加圧・常圧)などによる完全溶液化
  • 難分解性試料1)にも対応
  • 内標準法などを用いたICP-OES測定2)

1) 例 : SiC,GaN,IrMnなど 2) 誘導結合プラズマ発光分光分析

(2) 不純物分析 ~ppmレベル

  • 加圧酸分解による前処理
  • ICP-OES・ICP-MSによる測定
  • そのほかに、熱加水分解分離(下図)による前処理、ICP-MS3)・IC4)によりハロゲン成分も定量可能です。

3) 誘導結合プラズマ質量分析 4) イオンクロマトグラフィー

熱加水分解分離法(自動燃焼装置)
熱加水分解分離法(自動燃焼装置)

試料をボートに入れ、約1000℃に加熱した管状電気炉に導入し、水蒸気とともにキャリアガスを送ります。

加圧分解容器
加圧分解容器

加圧(密閉系)酸分解。
常圧酸分解では分解が難しい試料に用います。
・最高使用耐圧15MPa
・最高使用温度230℃

加水分解により発生した、Cl,F,NO3(NO2),Br,SO4(SO3)を吸収液に吸収させ、イオンクロマトグラフなどで測定します。
セラミックス試料だけでなく、揮発性試料の有機溶媒や樹脂などにも対応できます。

(3) O,N,C,Sなどのガス成分分析

  • 不活性ガス融解-赤外線吸収法
    (酸素 → CO,CO2 → 赤外線検出器)
  • 不活性ガス融解-熱電導度法
    (窒素 → N2    → 熱伝導度検出器)
  • 高周波加熱-赤外線吸収法(C,S)
    (炭素 → CO,CO2 → 赤外線検出器)
    (硫黄 → SO2    → 赤外線検出器)
酸素・窒素分析装置
酸素・窒素分析装置

分析結果例

(1) ニオブ酸リチウム・タンタル酸リチウムの組成分析結果

 ニオブ酸リチウム  
市販品(LiNbO3)
単位  Li Nb O
mol% 19.4   19.8   60.8  
mol比   0.97   0.99   3.04
タンタル酸リチウム
市販品(LiTaO3)
単位 Li Nb O
mol% 19.6   20.0   60.4  
mol比   0.98   1.00   3.02

ニオブ酸リチウム・タンタル酸リチウムともに、組成比がほぼ理論値であることが確認できました。
3桁目は参考値。組成は70mgの試料量で測定可能でした。

(2) ニオブ酸リチウム中の不純物分析結果

ファインセラミックス用SiC (JCRM R026) 中の不純物分析

Na,Mg,Al,Si,P,K,Ca,FeおよびTaが、数十~数百ppm含まれていることが分かりました。
成績書との比較も可能です。
不純物は200mgの試料量で測定可能でした。

[ 更新日:2024/12/05 ]

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