熱重量・示差熱同時分析/質量分析(TG-DTA/MS)Thermogravimetry-Differential Thermal Analysis / Mass Spectrometry
TG-DTA/MSは、試料温度を変化させ、それに伴う重量変化と吸熱・発熱反応とを同時に観測するとともに、発生したガスを質量分析計にて測定することにより、発生ガスの定性と発生挙動解析が可能です。
TG-DTA/MSは、試料温度を変化させ、それに伴う重量変化と吸熱・発熱反応とを同時に観測するとともに、発生したガスを質量分析計にて測定することにより、発生ガスの定性と発生挙動解析が可能です。
測定雰囲気:He
シュウ酸カルシウム水和物をTG-DTA/MSで測定した事例です。
加熱温度に従い3段階の重量減少と、それに伴う質量が観測されました。
(1) CaC2O4・H2O → CaC2O4 + H2O(m/z 18) ↑ :理論値12.3%
(2) CaC2O4 → CaCO3 + CO(m/z 28) ↑ :理論値19.2%
(3) CaCO3 → CaO + CO2(m/z 44) ↑ :理論値30.1%
測定雰囲気:Air
キャリアガスAirにおいて500℃近傍にHeガスでは見られなかった発熱ピークが出現しました。
この領域では、(2)式で発生したCOがAir中のO2との酸化反応により、CO2が生成していることが分かります。
(2)' CaC2O4 → CaCO3 + CO
CO+1/2O2 → CO2(m/z 44) ↑
m/z 12:CO2由来のフラグメントイオン
測定雰囲気をHeからAirにすることで、一般環境下に近い状態での加熱挙動結果が得られます。特に、Air中の酸素による酸化反応に伴う発生ガス種の結果を得ることができます。
医薬の熱物性をTG-DTAで測定すると同時に、発生するガス種を質量分析で推定します。熱反応の温度、質量変化、吸発熱の有無と、各反応温度領域で発生するガス種から、どのような熱反応が生じているかを推測できます。
■TG-DTA/MSによる市販の錠剤の評価
包装された錠剤を60℃の大気環境下で6時間放置した後、錠剤を取り出して分析しました。110℃近傍にCO2の発生が見られます。これは、大気中のCO2が錠剤に吸収されものが放出されたか、あるいは、酸化によりCO2が生成したと考えられます。
[ 更新日:2025/04/22 ]
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