量子ドット材料の評価Analysis of Quantum Dot Materials
次世代ディスプレイ材料として注目されている量子ドットは、数nm~数十nmの大きさをもつ化合物半導体の微粒子です。粒子サイズをコントロールすることで、色純度・色再現性の高い発光が期待されています。今回は量子ドット材料の特性の違いを分析した事例をご紹介します。
分析項目 | 分析手法 | 検出成分 | 分析結果 | ||
---|---|---|---|---|---|
試料A | 試料B | ||||
粒子 | 粒子サイズ 形状 元素分布 |
SEM・TEM EDS・STEM |
Cd,Se,Zn,S | 10nm程度、四面体形状、 Seが中心に分布 |
|
主成分の 元素組成 |
XPS (atomic%) |
Cd,Se,Zn,S | 試料間で差異あり | ||
化学分析 (mg/ml) |
Cd,Se,Zn,S | 試料間で差異あり | |||
リガンド | TD-GC/MS | 検出 (両試料で異なる成分を検出) |
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粒子表面の 結合状態 |
XPS (結合状態) |
Cd | 試料A・B間でCdの 結合状態に差異あり |
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TOF-SIMS (微量成分) |
CdS,SO | 検出 | 不検出 | ||
分散液 | 有機不純物 | GC/MS LC/MS |
炭化水素 | 不検出 | 検出 |
アルキルアミド | |||||
脂肪酸エステル | |||||
アルキルホスフィン | |||||
アルキルアミン | 微量検出 | 検出 | |||
粒度分布 | SP-ICP-MS | Cd | 大きい方に分布 | 偏り少ない | |
光吸収特性 | 分光光度計 | - | 300nm付近の吸収強度に差異 |
三角錐形形状を確認し、格子像を確認しました。
また、逆フーリエ変換により電子線回折が確認できました。
Zn,Cd,Se,Sを検出しました。
ナロースペクトルより、試料AはCdSなどの結合を含む可能性があります。
試料Aで、CdSが多い。
Cd,Se,S,Znの分布を確認することができました。
Seが中心に分布していることが確認できました。
試料間で光吸収強度に差があり、粒子濃度の違いが推定されます。
各元素ごとの粒度分布を確認できます。
試料間でCdの粒度分布に差がありました。
有機成分の定性・定量が可能です。
試料Bでは洗浄不足による残渣成分が確認されました。
粒子表面の有機成分の定性が可能です。
試料Aと試料Bとでは異なる成分が検出されました。
各種分析手法により、量子ドットの粒子主成分の組成(コア・シェル)やリガンド、分散剤の組成、添加剤・不純物など、微量成分・粒度分布・光吸収特性などについての情報が得られます。
[ 更新日:2025/04/22 ]
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