3次元アトムプローブ(3DAP)3 Dimensional Atom Probe (Atom Probe Tomography)
3DAP(3次元アトムプローブ)は、微小領域において原子レベルの空間分解能と高い検出感度を有し、得られたデータから任意領域の抽出・解析を行うことで、鉄鋼などの結晶粒界における微量元素の分布や、半導体などの薄膜積層膜の界面評価などに適した分析手法です。
先端径100nm程度の先鋭な針状試料に~10kV程度の正電圧をかけると、試料最先端で高電界となり電界蒸発現象1)が発生します。電界蒸発したイオンは2次元検出器によって原子配列が特定されます。また、検出器に到達するまでの飛行時間からイオン種も同定されます。このようにして個々に検出されたイオンを深さ方向へ連続的に検出し、検出された順番にイオンを並べる(データを再構築する)ことで3次元の原子分布が得られます。
1) 電界蒸発:試料表面の中性原子が正イオン化し表面から脱離する現象
試料の元素情報と3次元構造を原子レベルで解析できる手法で、二次イオン質量分析(SIMS)並みの感度と透過型電子顕微鏡(TEM)並みの空間分解能をもつ3次元解析手法です。また、得られたデータにおいて任意領域の抽出・解析が可能で、お客様のご要望に合わせ、さまざまな解析データをご提供します。
3DAP | SIMS | TEM | ||
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3次元イメージ | 可 | 限定的 | 限定的 | |
空間分解能 | x,y | 0.5nm | 数10µm※ | 0.2nm |
z | 0.3nm | 数nm※ | 0.2nm | |
検出限界 | 100ppm | ppbオーダ※ | 1,000ppm |
※元素・測定条件により変動
半導体デバイス・化合物半導体・太陽電池・金属材料・セラミックスなどに適用します。
【適用実績】
φ極微小領域[φ50×30(nm)]における、1nm間隔に積層された質量数の異なるシリコン(28Siと30Si)を明確に分離しました。
※試料ご提供元:慶應義塾大学 伊藤研究室 様
得られた3DAP像を基に、任意の領域を抜き取り詳細解析を行うことができます。
※試料ご提供元:東京大学 杉山先生
等濃度面は単位体積(Voxel)中の濃度が等しいVoxel同士を繋げて作成した面であり、界面の可視化や局所的な濃度分布を表示できます。
等濃度面を基準面とした各点から法線方向に濃度を計算した濃度プロファイルがプロキシグラムであり、界面ラフネスの影響を除いて得られる濃度プロファイルは急峻性が向上します。
等濃度面から遠ざかると法線同士が重なるため、信頼できる解析範囲は基準面から±数nm以内になります
解析1)によって決定した以下のパラメータを用いてクラスタ解析を行います。
dmax:クラスタ原子間距離
Nmin:クラスタ構成最低原子数
1) 解析
[ 更新日:2025/04/22 ]
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