磁場顕微鏡を用いた非破壊検査Non-Destructive Inspection by Magnetic Field Microscopy
磁場顕微鏡は、試料を破壊せずに試料内部の電流から生じる外部磁場分布を測定し、数学的な処理を施して、電流経路を推測し可視化する技術です。
半導体や電子部品の不具合箇所の特定や、新素材の電流分布の測定に有効です。
試料サイズ : 最大 A4サイズ(297mm×210mm)×高さ80mm
TMR : Tunnel MagnetoResistance MI : Magneto Impedance
電流が流れると、その周りには、右ねじの法則に従い磁場が発生します。磁気センサは決まった方向の磁場を検出するため、その方向および強度の情報から、電流経路や電流分布を推測することができます。
金属皮膜下の電流経路可視化可能
低抵抗のショート箇所特定可能
さまざまな製品の電流経路可視化に対応可能
・半導体チップ ・リチウムイオン電池
小型で低ノイズの
磁気センサ(TMR)を使用
電流経路を高分解能で
可視化可能
磁場顕微鏡で特定したショートなどの異常箇所をX線CTで観察することにより、非破壊で詳細な原因解析が可能になります。
また、非破壊解析により断面加工後の電子顕微鏡による高分解能観察や分析までにかかる時間を大幅に削減することができます。
水色枠線内で磁場変化が大きく、
ショート箇所を流れる電流の
存在を推定
設計上、電流経路がない場所に
磁場があれば、その部分に
ショート不良があると判断できます
磁場顕微鏡により推測された電流経路像とX線CTを組み合わせることで、これまで非破壊解析では困難であった低抵抗ショート不良の解析が可能になります。
基板上のX,Y方向の磁場を測定し、磁場の変化が大きい箇所を電流経路と推測して可視化しました。
パワーデバイスは、パッケージを開封すると電気特性が変動してしまい、不具合箇所の特定が困難になる場合があります。磁場顕微鏡を用いれば、パッケージを開封せずに試料内部の電流経路を推測・可視化でき、不具合箇所を絞り込めます
過電圧により破壊したパワーデバイスのショート箇所を、パッケージを開封せずに絞り込みました。
LEDに電流を流し発光させた状態で電流経路を観察することができます。複数のLEDを並列接続して使用する際の素子のばらつき確認などに活用することができます。
LED : Light Emitting Diode (発光ダイオード)
CFRP内のカーボン繊維に電流を流し、表面近傍の2次元磁場分布を観察することで、間接的に繊維の配向状態、断線の有無を確認できます。
CFRP : Carbon Fiber Reinforced Plastics (カーボン繊維強化プラスティック)
磁場像の明るい箇所と暗い箇所の境界(磁場分布の変化が大きい箇所)を抽出することで、電流経路(電流像)を確認できます。
パワーデバイスやリチウムイオン電池など、大電流を流すデバイスで平面電極は使用されます。平面電極に外部から電圧を印加し、電極表面近傍の2次元の磁場分布を観察することで、電極内を流れる電流の密度分布を確認できます。
※〇箇所 : この領域では電流はX方向のみに流れるため、
磁場のx成分(Hx)=0となり、暗く見える。
電圧を印加している端子間の距離が短い部分で、電流密度が大きくなっていることが分かります。
電子機器が発する磁場の分布を可視化しました。
ポイント
磁気センサが試料近傍の磁場分布を測定し、面内磁場分布を可視化できます。
[ 更新日:2025/04/24 ]
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