医薬品分析サービス 19 XPS分析の錠剤への応用 XPS Analysis for Tablets X線光電子分光(XPS)は、X線を試料に照射した際に放出される電子を観測し、試料内に存在 した電子の情報を取り出す分析手法で、極表面の化学組成・結合状態・価数などの情報を 得ることができます。 原理 固体表面にX線を照射すると、試料中の原子の 各軌道から電子(光電子)が放出されます。 XPSは、 この光電子の運動エネルギーと光電子強度を測定し、 元々試料中にいた電子の状態を調べる分析手法です。 放出された光電子の運動エネルギーは各軌道の 束縛エネルギーに対応し、元素・化学状態に特有です。 そのため、光電子のエネルギーおよび強度を測定する ことにより、原子の同定・定量が可能となります。 光電子放出イメージ 特徴 • 数nmの最表面の組成分析(Li~)が可能 • 感度は、0.1atomic%程度 • 電子状態分析(化学結合・価数・ギャップなど)が可能 • 絶縁物・有機物の測定が可能(非破壊分析) • 測定領域は、数十~数百μmφ XPS分析の錠剤への応用事例 成分の混ざり具合が異なる錠剤をXPS分析し、比較しました。 全定性分析結果 C / S 0 1 2 3 4 5 6 7 8 ×104 Binding Energy (eV) 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 デモ錠剤A デモ錠剤B - C KLL - O KLL - O 1s - N 1s - C 1s - Si 2s - Si 2p - O 2s XPSスペクトル C1s C / S 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 Binding Energy (eV) 298 296 294 292 290 288 286 284 282 280 278 デモ錠剤A デモ錠剤B 芳香族由来 π-π* satellite O=C-O, C-N C-O C-C/H N1s C / S 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 Binding Energy (eV) 410 408 406 404 402 400 398 396 394 392 390 デモ錠剤A デモ錠剤B 芳香族由来 π-π* satellite N N N O1s C / S 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 18000 20000 Binding Energy (eV) 542 540 538 536 534 532 530 528 526 524 522 デモ錠剤A デモ錠剤B O-Si, O-C O=C Si2p C / S 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 Binding Energy (eV) 112 110 108 106 104 102 100 98 96 94 92 デモ錠剤A デモ錠剤B Si-O Si-C デモ錠剤Aとデモ錠剤Bの間において、Si2pおよびC1s XPSスペクトルに違いが観測されました。 これら スペクトル形状の違いは、錠剤の構成成分の構造や混合比の違いを反映しているものと推定されます。 21-100(2)
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