X線光電子分光(HAXPES・XPS) 7 全反射HAXPESの応用事例 Application of Total Reflection HAXPES HAXPESは、これまで軟X線領域での測定が主流であった光電子分光を硬X線領域で行うことで バルク敏感な測定が可能となり飛躍的な進歩を遂げました。 一方で、表面状態の分析を 目的としてX線の全反射条件下でのHAXPES測定も行われています。 全反射条件ではX線が全反射臨界角で入射するため、物質中へ侵入できる深さが 制限されます。 この特性をHAXPESに適用すると原子層レベルの界面酸化層や偏析不純物の 結合状態の分析が可能となります。 全反射HAXPES 通常条件測定では、X線は試料深くまで入り込みますが、光電子の脱出深さが小さいため、HAXPESの 検出深さは光電子の脱出深さで決まります。 一方、全反射条件ではX線の侵入長が光電子の脱出深さよりも 短くなるためHAXPESの検出深さはX線の侵入長で決まります。 通常のHAXPES測定と全反射HAXPES測定の対比 光電子の 脱出深さ 通常のHAXPES測定 X線 光電子 X線の侵入長 ≫ 光電子の脱出深さ 全反射HAXPES測定 X線 光電子 X線の侵入長 ≦ 光電子の脱出深さ 事例 La0.6Sr0.4MnO3/SrTiO3 事例では、強相関電子系材料のLa0.6Sr0.4MnO3/SrTiO3基板(LSMO/STO基板)に対し全反射HAXPESを実施し、 表面とバルクの電子状態の比較を行いました。 HAXPESスペクトル(Mn 2p3/2, O 1s) Mn 2p3/2 Intensity(arb. units) BindingEnergy (eV) 645 640 全反射 通常 well-screened ピーク O 1s BindingEnergy (eV) 540 530 全反射 通常 表面コンタミ成分 全反射HAXPES測定では バルク特有のMn 2p3/2の well-screened ピークが 消失し、O 1sでは表面コンタミ 成分が増大していることが わかります。 ※T. Mizutani et al., Physical Review B 103, 205113 (2021). 22-083(2)
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