高濃度層から下層膜への不純物拡散評価Evaluation of Impurity Diffusion from High-Concentration Layer to Underlayer Film

SIMS分析において、高濃度層から下層膜への不純物拡散を評価する際には、表面の凹凸やスパッタエッチングに伴い、高濃度層からのクレーターエッジ効果やノックオンの影響を受けることがあります。
これらの影響を受けない評価方法として、基板側からSIMS分析を行うバックサイドSIMS(Backside SIMS)があります。今回、Backside SIMSによりFが添加されたSiO2膜(FSG膜)から下層SiO2膜へのFの拡散分布を評価しました。

Backside SIMS原理

裏面側のSi基板を研磨して薄くすることにより、裏面側からアプローチできるようにします。
Si基板の残厚を制御して薄膜化することや、パターン付試料の任意領域を薄膜化すること、SiO2層などのSiのエッチングを選択的に停止させる層がある場合には、ウェットエッチングによりSi基板部分すべてを除去することも可能です。

バックサイド SIMSの概念図
Backside SIMSの概念図

事例 FSG膜と下層SiO2膜界面のF(フッ素)の拡散評価

Backside SIMS分析の結果から、Frontside SIMS分析において見られたFSG膜(Fが添加されたSiO2膜)と下層SiO2膜界面付近のF分布[矢印(1)]は、高濃度層の影響であることが分かります。
また、下層SiO2膜からSi基板におけるF分布[矢印(2)]は、深い領域まで測定した際に生じる、面荒れに伴う深さ方向分解能の低下であることが分かります。
この他にも下記のような評価において、Backside SIMSが有効です。
厚い積層構造を有する試料の基板付近や高濃度層の界面付近について正確なプロファイルを得るためには、Backside SIMSが有効です。

FrontsideおよびBackside SIMSのデータ比較
  • 表面側に厚い積層構造を有する試料の基板付近の評価
  • 表面に凹凸が存在する試料の下層膜の評価
  • メタル膜と下層膜界面の評価

[ 更新日:2024/02/26 ]

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